高年大学鯱城学園

学生会

メニュー

陶芸Ceramic Art

常滑 石水窯等の見学

2024-01-30

クラブで陶芸創作および鑑賞の参考にするために常滑焼の里の見学を計画していたところ、楽陶館の谷川先生から「折角なら友人の工房を紹介しようか。」とのお話があった。
そこで是非にとお願いして日程調整までしていただき、その周辺のめぼしい所も散策することとした。

先生からご紹介頂いたのは「石水窯」、常滑でも数少ない薪で陶器を焼いている窯だった。

以下に、訪問日 2024年1月30日の活動概要を記載する。

1.常滑駅にて全員集合
陶芸クラス参加者約10数名は、名鉄の常滑駅に集合した。
その駅に下の写真に示す祠があり、猫の陶器製の神様が鎮座していて受験にご利益があるとされていた。なぜかと考えて、神社名そして猫の足の後ろに書かれている常滑の「滑」が逆に書かれていることに気が付いた。逆なら常に「滑らない」ということ。一同大爆笑。

※クリックすると拡大することができます。

2.石水窯訪問
駅から石水窯まで歩いて約10分。かなりシックな建物だった。クラブ代表が挨拶すると、奥のほうから工房の主人、稲葉さんが出てこられた。 工房は、作業場所・展示ルーム・販売店の合体したもので、たくさんの作品が並べられ、ロクロが置かれていた。
 
下左は、石水窯の看板、右は説明を始めた稲葉さん。

※クリックすると拡大することができます。

稲葉さんに丁寧に説明頂いたが、私に理解できた石水窯の特徴を以下に示す。

①古くからの薪焼に拘った陶器作り 
 薪焼き特有の玄妙な色合いの変化や自然釉の美しさを楽しむ。

②土のブレンドによる焼成後の素地の色合いのコントロール

⓷手になじみやすい形と、焼きあがった後の高精度の寸法

①の薪焼き特有の自然釉の例を、下図左の後列、および中央の写真に示す。薪の灰が陶器に降りそこでガラス化して、ザラっとした釉となって表面を覆うとともに、玄妙な光沢が現れる。この釉は薪の種類や焼成条件によって、いろいろと変化する。このコントロールの難しい釉と付き合っていくのが楽しみだそうだ。

②と⓷は、この窯が得意とする急須など蓋物に生かされている。
下図の3番目は、胴体と蓋の色合いの異なる急須や蓋つきの入れ物である。素材の色合の違いを見事に生かしている。急須の蓋は非常に精度よくガタつかずに着脱できる。そして茶漉し付きで、注ぎ口が非常に湯切れのいい形になっているとのこと。

ところで薪焼き実施には、自然釉を付けようとする対象を年単位で作り貯め、大きな窯に狭い隙間をコントロールしてぎっしり詰める。そして薪を10日ほどかけて設置した後、ほぼ3昼夜炉内が1200℃以上のある温度範囲になるように燃焼を維持する。大変な資金と労力がかかるとのこと。

※クリックすると拡大することができます。

3.常滑登り窯広場
続いて、石水窯近くの登り窯広場に行き、まず明治20年から昭和49年まで実際に使用されていた登り窯を見学。非常に大きい。
ここの10本の煙突や他の登り窯からの煙で、常滑のスズメはかつて真っ黒だったそうだ。
その後、広場内の展示工房館で昔の炉の中に入り、また最近の作家の作品を鑑賞した。

4.その他
焼き物散歩道を散策し、廻船問屋・瀧田家、切通の壁や地面を陶器で覆った土管坂などを訪れた。途中でテレビにもでた店番の猫にも出合った。

下左は登り窯の煙突、中央は土管坂、左は店番の猫で周辺の陶器に触らずに動き割ることはないとのこと。

※クリックすると拡大することができます。

今回の訪問で、石水窯や登り窯広場の展示工房館、陶磁器会館などを訪れた。そこで技術的レベルはさておき、製作対象の形状や色使いに関するヒントを、参加者は得ることが出来たようだ。そして石水窯にて薪焼きの陶器の製造方法の知識と作品の味わい方について学ぶ事ができた。
 
石水窯を訪問する機会と調整をしていただいた楽陶館の谷川先生、そこで懇切丁寧に説明していただき質問に回答いただいた稲葉様に感謝いたします。

最後に、稲葉さんとクラブ参加メンバーの記念撮影写真。

※クリックすると拡大することができます。